金沢大学心理学プログラム

連絡先 〒920-1192 石川県金沢市角間町

更新情報・お知らせ

学習・教育の紹介

行動や認知などを実証的に研究するという立場から,本研究室では、実験・調査といった手法による実証的な心理学を学びます。主なカリキュラムは以下の通りです(これらのカリキュラム構成は、日本における学士課程の心理学教育の標準的な形をなしています)。
実証的な心理学を理解し研究するためには、一定の基礎的な知識が不可欠です。そのため心理学コースでは、早いうちから幾つかの科目について必修科目として積み上げ式に履修することになっています。これらが履修できていないと最終的に卒業も出来ない仕組みになっていますので、注意が必要です。

1. 実験・実習・統計法・卒業研究

2年生では基礎演習・実習科目の「心理学実験1A,1B,2A,2B」が必修となっています。ここでは与えられた複数のテーマについての実験を行い、データを分析し、レポートにまとめます。毎週提出が義務づけられるレポート書きは決して楽ではありませんが、これによって心理学実験の基本的な手法を学ぶことが出来ます。
データ分析には統計法が用いられることから、2年生ではこの統計法の基礎を学ぶ「心理統計法1A,1B,2A,2B」(基礎講義科目)も必修となっています。心理学で使われる基本的な心理統計を学びます。

3年生では基礎演習・実習科目のうち「心理学研究法1A,1B,2A,2B」「心理学実験・調査演習A,B,C」(うち2科目)がプログラム必修科目として設定されています。「心理学研究法1A,1B,2A,2B」ではより高度な実験の技法や調査の手法を学びます。また、「心理学実験・調査演習A,B,C」では自らの関心に基づいた研究テーマについて実験・調査を行いレポートにまとめ、これを土台にして4年生での卒業研究へと進みます。

4年生では自らの研究を「卒業論文」にまとめます。

2. 講義・演習

心理学研究の全体像をつかめるようにした心理学概論A,Bが用意されています。このほか、心理学の諸領域(神経心理学・認知心理学・学習心理学・人格心理学・社会心理学・臨床心理学)について概説する講義や隣接領域の講義、テーマを絞った特殊講義が「人文学基盤科目」および心理学プログラムの「基礎講義科目」として用意されています。また、英語論文などを読み、専門のテーマを学ぶ演習も発展演習・実習科目として用意されています。

人間社会学域 公認心理師養成プログラム

大学(学士課程)において公認心理師受験に必要な科目を揃えるためには、「人文学基盤科目」および心理学プログラムで開設される「基礎演習・実習科目」「基礎講義科目」「発展講義科目」のうち必要な科目すべてを標準履修年次3年生までに履修し終えた上で、4年次以降に、より専門的な科目を集中的に学ぶための「人間社会学域 公認心理師養成プログラム」に配属される必要があります。

  • 公認心理師養成プログラムに配属される前提条件となる必要科目については入学時に配布される「人文学類ハンドブック」を参照して下さい(入学年度によって科目構成などが若干異なる場合があるので、自分の入学年度のハンドブックを参照してください)。なお,この要件は、心理学プログラムとしての卒業要件とは別ですので注意してください(公認心理師に必要な科目に必要な科目を履修しただけでは、心理学プログラムとしての卒業要件は満たしません)。
  • 「人間社会学域 公認心理師養成プログラム」では、「人体の構造と機能及び疾病」「精神疾患とその治療」「関係行政論」「公認心理師の職責」「心理演習」「心理実習」の科目を学びます。これらの科目は卒業要件にはカウントされません。

教員紹介

岡田努 教授
(OKADA,Tsutomu)
青年期の自己と対人関係について明かにするための調査研究をおこなっています。これらの研究から,若者の人間関係には関係回避・群れ・個別関係の3つに大別できるパタンが見出されることがわかってきました。
個人ページ
小島治幸 教授
(KOJIMA,Haruyuki)
感覚・知覚・認知の実験心理学,脳科学,認知科学を専門としています。近赤外分光法(NIRS)や脳波・機能的磁気共鳴画像法(fMRI),脳磁図(MEG)といった最新の機器を使って研究をおこなっています。
個人ページ
谷内通 教授
(TANIUCHI,Tohru)
専門は学習心理学と比較心理学で,主に動物を使った実験をおこないます。学習心理学の知見を家畜動物(ブタ)の行動制御に応用したり,性的な嗜好性の修正を可能にするための基礎的なメカニズムの研究を,ラットを使ってすすめています。
個人ページ
荒木友希子 准教授
(ARAKI,Yukiko)
専門は健康心理学で,主に人の無力感や悲観主義に関する実験や調査をおこなっています。最近は,発達障害や聴覚障害を持つ方へのインタビュー調査もはじめました。また,臨床心理士として認知行動療法に基づく臨床活動もおこなっています。
個人ページ
村山恭朗 准教授
(MURAYAMA,Yasuo)
研究領域は臨床発達心理学,臨床心理学です。具体的には,反すうや脱中心化など,感情調整方略が示すメンタルヘルス(抑うつ症状や食行動異常等)への効果,児童生徒における心理社会的問題(いじめ,不登校等)の発生メカニズムの検証を中心に行っています。近年では,療育手帳の交付判定の全国統一化に関する研究も進めています。
吉村晋平 准教授
(YOSHIMURA,Shimpei)
研究領域は実験臨床心理学,実験精神病理学,認知行動療法です。行動実験によってうつ病や不安の背景にある心理生理学的要因について研究しています。また、認知行動療法のメカニズムにも関心があり、機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)を使って認知行動療法の神経科学的メカニズムを研究しています。
上宮愛 講師
(UEMIYA,Ai)
研究領域は,認知心理学,発達心理学,司法犯罪心理学です。事件・事故の被害者,目撃者となった子どもから正確に被害内容を聴取することを目的とした「司法面接(Forensic Interview)」とよばれる面接技法の開発研究を行なっています。また,司法場面における子どもの証言や,子どもによる嘘の概念理解の発達などについても研究をしています。

よくある質問

金沢大学人間 社会学域 人文学類 心理学プログラムを志望する方にわたしたちの研究室についてご理解いただくため、日ごろからよく受ける質問と、それに対する回答を掲載します。

Q1. 心理学とはどのような学問なのですか?
A1. 心理学には、知覚心理学、認知心理学、感情心理学、発達心理学、教育心理学、人格心理学、社会心理学、文化心理学、臨床心理学、生理心理学、神経心理学、比較心理学・・・などの多くの専門領域があります(ここに挙げたものはその一部にすぎません)。このように多様な心理学も、人間の行動の原因を科学的な視点から明かにする、という共通の目的をもっています。
Q2. 金沢大学人文学類の心理学コースでは、具体的にはどのような研究をしているのですか?
A2. 教員紹介のページに各教員の研究内容や個別のページが紹介されています。
Q3. 心理学の研究には数学やコンピュータの知識が必要だと聞きましたが、本当ですか?実験や調査もおこなうのですか?
A3. 心理学の研究では、実験や調査などの「実証的な」方法を使ってデータを集め、分析します。そのような方法は、心理学コースが用意する演習や実習という名のつく授業で習得できます(ですから,入学前からあまり心配する必要はありません)。これらの授業で「心理学的な現象を科学的に眺める視点」を身につけるとともに、データを収集し分析するためのスキルを学びます。
 数学やコンピュータの知識は、このような研究をすすめるときに大いに私たちを助けてくれます。具体的には、コンピュータを使った実験をおこなう、集めたデータを統計学的に検定・分析する、分析されたデータから得られた結果について発表(プレゼンテーション)する,といった局面で,数学的知識やコンピュータの利用が必要になります。
 こうした知識だけではなく、心理学は学問的な発展を遂げる中で、多くの隣接諸領域と関わりをもつようになりました。よってその範囲は広く、社会科学や発達科学、さらには医学、工学などの自然科学系の学問とも深いつながりがあります。心理学を学ぶものは、人間についての様々な視点をもち、人文学類内外の関連領域について学ぶことに努めてください。
Q4. 心理学を研究するうえで必要な外国語はなにですか?
A4. 主だった研究成果は英語で書かれた論文として発表されることが、今日では普通になっています。世界中の研究者が毎日のように英語の論文を発表している状態です。ですから、英語で書かれた論文を読むことができる、ということが研究の第一歩と言えるでしょう。演習の授業では、教員とともに英語論文を講読することを通じて、このような論文を読み解く力を養うことができます。また、英語以外の言語で書かれた論文や本もないわけではありませんし、英語以外の言語を母語とする研究者も多いですから、このような言語についてもひろく学習しておくことはよいことだと思います。
Q5. 卒業論文はどのようなテーマで書くのですか?
A5. 心理学コースの4年次には、自分の関心に沿った研究を教員の助言を得ながらおこない、卒業論文としてまとめ、これを提出します。最近は、認知心理学・人格心理学・社会心理学・知覚心理学・神経心理学・学習心理学・動物心理学、などの領域の研究が多い傾向があります。
Q6. 金沢大学人文学類の心理学プログラムでは、どのような資格をとることができますか?
A6. 心理学コースが用意する標準的な科目を履修した場合、日本心理学会が認定する「認定心理士」の資格を取得することができます。 認定心理士については こちらのページをごらんください。
Q7. 卒業生の進路にはどのようなものがありますか?
A7. 平成21年度の卒業生の場合、公務員が約39%、一般企業が約28%、大学院進学者が約28%(基礎心理学系,臨床心理学系あわせて)、その他約5%となっています。
Q8. 金沢大学人文学類の心理学プログラムを卒業すると公認心理師になれますか?
A8. 公認心理師は大学(学士課程=学類)で必要な単位を取って卒業した後、大学院で必要な科目を修めて修了または一定の要件を満たす研修施設での経験を経て、国家試験の受験資格が得られるものです。本学の人間社会学域では平成30年度入学者から、心理学コース/プログラムを中心とした科目を履修したのち、人間社会学域の「公認心理師養成プログラム」の科目を修めることで、大学で必要とされる科目を修得できます。
また2022年度からは大学院 人間社会環境研究科人文学専攻で「公認心理師養成プログラム」が発足し、公認心理師受験に必要な大学院の科目について教育を行います。
Q9. 金沢大学人文学類の心理学プログラムを卒業すると臨床心理士になれますか?
A9. 臨床心理士資格認定協会が認定する「臨床心理士」の資格を得るためには、同協会が認定する指定大学院の修士課程(博士前期課程)を修了する必要があります。金沢大学の大学院は指定大学院にはなっておりませんので、臨床心理士の資格を希望する場合は、他の指定大学院を受験する必要があります。金沢大学の心理学プログラムでの学びを生かして、毎年一定数の卒業生が指定大学院に進学を果たしています。

文献案内

金沢大学心理学コースにおける学習・研究に有用な図書をリストアップしました。

事典、ハンドブック、講座もの

事典・辞典

  • ・藤永保ほか(監修) 2013 最新 心理学事典 平凡社
  • ・海保博之・楠見孝(監修) 2006 心理学総合事典 朝倉書店
  • ・藤永保・仲真紀子(監修) 2004 心理学辞典 丸善
  • ・中島義明(編) 2001 現代心理学理論事典 朝倉書店
  • ・日本発達心理学会(編) 2013 発達心理学事典 丸善出版
  • ・日本社会心理学会(編) 2009 社会心理学事典 丸善
  • ・中島義明ほか(編) 1999 心理学辞典 有斐閣(CD-ROM版)
  • ・加藤敏ほか(編) 2011 現代精神医学事典 弘文堂
  • ・アメリカ精神医学会 高橋三郎ほか(訳) 2004 DSM-IV-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル 新訂版 医学書院

ハンドブック

  • ・大山正ほか(編) 1994 感覚・知覚心理学ハンドブック 誠信書房
  • ・安西祐一郎ほか(編) 1992 認知科学ハンドブック 共立出版
  • ・東 洋ほか(編) 1992 発達心理学ハンドブック 福村出版
  • ・二宮克美ほか(編) 2013 パーソナリティ心理学ハンドブック 福村出版
  • ・山本眞理子ほか(編) 2001 社会的認知ハンドブック 北大路書房
  • ・菊池章夫ほか(編) 2010 社会化の心理学/ハンドブック:人間形成への多様な接近 川島書店
  • ・心理学実験指導研究会(編) 1985 実験とテスト=心理学の基礎 実習編 培風館
  • ・心理学実験指導研究会(編) 1985 実験とテスト=心理学の基礎 解説編 培風館

講座もの

  • ・八木冕ほか(編) 1969-71 講座心理学 全15巻 東京大学出版会
  • ・戸田正直ほか(編) 1985--92 認知科学選書 東京大学出版会
  • ・乾敏郎他 (編)1995 認知心理学 全5巻 東京大学出版会
  • ・伊藤正男ほか(編)1995 認知科学 全9巻 岩波書店
  • ・落合良行ほか(編) 1995 講座 生涯発達心理学 全5巻 金子書房
  • ・榎本博明・岡田努・下斗米淳(監修)2008--2009 自己心理学 全6巻 金子書房

概論書等

知覚・認知系心理学

  • ・池田光男 1988 眼はなにを見ているか.平凡社
  • ・下條信輔 1996 サブリミナルマインド 中公新書
  • ・リンゼイ, R. H., ノーマン, D. A. 1997 中溝・箱田・近藤(共訳) 情報処理心理学入門Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ. サイエンス社
  • ・松田隆夫 2000 知覚心理学の基礎.培風館
  • ・太田信夫・多鹿秀継(編著) 2000 記憶研究の最前線 北大路書房
  • ・井上毅・佐藤浩一(編著)2002 日常認知の心理学 北大路書房
  • ・石口彰 2006 視覚(キーワード心理学シリーズ)新曜社
  • ・内川恵二,篠森敬三(編) 2007 視覚Ⅰ, Ⅱ 朝倉書店

学習心理学・比較心理学

  • ・藤田和生 1998 比較認知科学への招待 ナカニシヤ出版
  • ・藤田和生 2007 動物たちのゆたかな心 京都大学学術出版会
  • ・長谷川寿一・長谷川真理子 2000 進化と人間行動 東京大学出版会
  • ・今田寛 1996 学習の心理学 培風館
  • ・実森正子・中島定彦 2000 学習の心理 サイエンス社
  • ・メイザー, J. E. 磯博行・坂上貴之・河合伸幸 (訳) 1999 学習と行動 二瓶社
  • ・パピーニ, M. R.比較心理学研究会(訳)2005 パピーニの比較心理学 北大路書房

社会心理学

  • ・中村陽吉(編著) 1990 「自己過程」の社会心理学 東京大学出版会
  • ・対人行動学研究会(編) 1990 対人行動学ガイドマップ ブレーン出版
  • ・斉藤勇(編) 1987--1999 対人社会心理学重要研究集 誠信書房
  • ・松井豊ほか(編) 1990-- セレクション社会心理学シリーズ(続刊中) サイエンス社
  • ・中里至正ほか(編) 2003 社会心理学の基礎と展開 八千代出版
  • ・唐沢かおり(編) 2005 社会心理学 朝倉心理学講座 7 朝倉書店
  • ・パピーニ, M. R.比較心理学研究会(訳)2005 パピーニの比較心理学 北大路書房

人格・発達心理学

  • ・遠藤由美 2000 青年の心理:ゆれ動く時代を生きる サイエンス社
  • ・加藤隆勝・高木秀明(編) 1997 青年心理学概論 誠信書房
  • ・青柳肇・杉山憲司(編著)1996 パーソナリティ形成の心理学 福村出版 
  • ・詫摩武俊他(編) 1999--2000 シリーズ・人間と性格 ブレーン出版
  • ・笠原嘉 1976 青年期 中央公論社(中公新書)

臨床心理学

  • ・R. D. レイン 坂本健二・志貴春彦・笠原嘉(訳) 1971 引き裂かれた自己 みすず書房
  • ・R. D. レイン 志貴春彦・笠原嘉(訳) 1975 自己と他者 みすず書房

心理統計入門書

最も入門的なことがらを解説したもの

  • ・佐藤信 1968 推計学のすすめ 講談社 (ブルーバックス)

分散分析法について詳しい解説が得られる

  • ・小牧純爾 1995 データ分析法要説 : 分散分析法を中心に

読み物として通読もできる心理統計・研究法として以下の書籍が挙げられる

  • ・佐伯胖・松原望 編 2000 実践としての統計学 東京大学出版会
  • ・南風原朝和・市川伸一・下山晴彦 2000 心理学研究法入門 東京大学出版会
  • ・南風原朝和 2002 心理統計学の基礎:総合的理解のために 有斐閣

多変量解析

  • ・古谷野亘 1988 数学が苦手な人のための多変量解析ガイド:調査データのまとめかた 川島書店
  • ・松尾太加志・中村知靖 2002 誰も教えてくれなかった因子分析:数式が絶対に出てこない因子分析入門 北大路書房

共分散構造分析

  • ・豊田秀樹ほか 1992 原因をさぐる統計学:共分散構造分析入門 講談社 (ブルーバックス)
  • ・豊田秀樹ほか 2003 共分散構造分析:構造方程式モデリング (疑問編) 朝倉書店

連絡先

〒920-1192
石川県金沢市角間町
金沢大学 人間社会学域
人文学類 心理学研究室

採用情報 採用情報

上のバナー画像は、901px以上の端末と900px以下とで画像2種類が切り替わります。
詳しい説明はこちら。